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米国再輸出規制入門

2013/11/25掲載開始

■本サイトを読まれた方は、こちらのEAR関連の解説資料を閲覧・視聴していただ くことをお勧めします。

1.はじめに  

 米国の輸出規制は、対共産圏輸出規制委員会(COCOM)そしてそれに続くワッセナーアレンジメント(WA)という国際的な枠組みを根拠とする中で、自国を取り巻く経済情勢のもと、さまざまな局面から国家安全保障を図っています。そしてその中核となる米国輸出管理法は「再輸出規制」、すなわち、米国の国内法を海外の国にも適用する「域外規制(Extraterritorial Control)」を行っています。
 若し、日本企業がこれに違反した場合には、罰金、禁固、取引禁止顧客 (Denied Persons)としての指定、米国政府調達からの除外等が課せられ、そのため実質的に米国との取引が以後出来なくなる事態が生じます。これは、大学や研究機関も例外ではありません。
 このため、現実の対応として、米国の輸出規制を理解した上でのコンプライアンスプログラムの作成、コンプライアンススタッフの育成などを図り、自主的に法令を遵守しつつビジネスを進めることが、日頃の企業活動としては必要不可欠なものとなっています。しかしながら米国の輸出規制を理解することは、商務省だけでなく国務省、財務省等多岐にわたる申請、そして昨今の米国経済および国際政治情勢の影響を受け、頻繁に規制内容の変更があることから困難な場合もあると言えます。
 本コンテンツは、これから米国再輸出規制に取組まれる皆様の、米国輸出管理法令に関する“道しるべ”となるよう作成いたしました。ご活用いただければ幸いです。
※なお、本コンテンツは主に米商務省産業安全保障局(BIS)による米国輸出管理規則(EAR)の説明です。

 

2.EAR超入門 -米国再輸出規制を学ぼう- <WEBセミナー>

EAR超入門  
(EAR超入門(PDF))   

 CISTECが行っているセミナー<米国再輸出規制(EAR)>、各種解説本の資料等をもとにして、米国再輸出規制の基本的なポイントを簡潔にまとめたものです。個人での学習、社内での各種研修等の際に、e-learning教材の一つとしてご活用いただければ幸いです。

>>知識を増やしたい方・実務レベルで学習したい方はセミナー・講演会ページへ(米国再輸出規制<EAR>) 

 

3.米国再輸出規制とは何ですか?

米国製の製品、部品、技術、ソフトウェアが、米国から輸出された後に、第三国に再輸出される場合、仕向地、使用者、輸出貨物・提供技術の種類、米国製品や技術の全体の輸出に対する比率等により米国法の規制を受けることを指します。つまり、いったん米国から輸出されたものが、その後、輸出先から第三国あるいは第三国の特定の使用者向けに再輸出される場合、米国からの直接輸出が規制されていれば、再輸出においても同等の規制を受けることです。

 

4.どのような法律に基づいているのですか?

米国の安全保障輸出管理は規制品目によって管轄が異なります。我が国の多くの輸出者に関連が深いのは、デュアルユース品目を扱う商務省の産業安全保障局(BIS)の米国輸出管理規則(EAR)に基づく規制です。



5.米国製品を再輸出する際のおおまかな流れを教えてください。

 ①輸出・再輸出しようとする品目がEAR規制対象かそうでないかを調べます。
 ②規制品目項番(ECCN)の識別を行います。
 ③外為法上の顧客審査と同じように、取引相手や仕向地について精査していきます。
 ④許可申請が必要か、許可例外(LE)が適用できるか、あるいは許可不要(NLR)なのかを調べていきます。

  ※企業によっては、エンドユーザー、エンドユースのチェックを先に行い、リストの該非を判定し、
   許可要・不要、許可例外の適用の可否を判断しているところもあります。

6.EARに違反した場合、具体的にどのような措置が取られるのでしょうか?

 まず、取引禁止顧客(DPL)として公表された場合、この会社へのEAR対象品目の輸出・再輸出が禁止されるので、米国の企業、機関、個人が米国から輸出をしてくれません。また、DPLに掲載された企業はEAR対象品目を輸出・再輸出することが禁止されます。さらに米国以外からも米国製品が輸入できないため、米国製品を使った製品を作ることもできなくなります。対象となるのは、違反した品目だけではなく、(原則として直接製品を除く)全てのEAR対象品目になりますので、米国製技術も取り扱えないということになります。



7.取引相手の精査の際、取引禁止又は注意を要する顧客として、どのようなものがありますか?

BISのホームページ「Lists of Parties of Concern」に公表されています。CISTEC総合データベース<CHASERコーナー>でも米国再輸出規制に関連する下記のリストが収録されています。ご活用をお勧めします。

リスト名 内    容 管轄省庁
Denied Persons List(DPL)

EAR違反禁止顧客リスト。違反により輸出権限を剥奪されている企業・個人を指す。原則として、EAR対象品目の輸出・再輸出に係わる、掲載企業との取引は禁止されている。


商務省 (BIS)

Unverified List

未検証エンドユーザーリスト。米国政府が許可前のチェックや許可証を使用した輸出の出荷後検証を実施することができない組織のリストを指す。不正転売やWMD拡散のリスクの観点で警戒を要する。

Entity List

WMD拡散懸念顧客や米国の安全保障・外交政策上の利益に反する顧客等のリストを指す。掲載企業に輸出するにはEAR99製品も許可要の場合がある。

Specially Designated Nationals List

(SDNリスト)

国連制裁国、米国禁輸国、テロ支援国の政府関係機関、関連企業等の企業・個人のリストを指す。違反者リストではないが、掲載企業・個人への米国人の関与を禁止している。また、テロ組織や大量破壊兵器拡散者(NPWMD)なども掲載されており、これらの掲載者向けにEAR規制対象品目を輸出・再輸出する場合にはBISの許可が必要である。

財務省
(OFAC)

Debarred List

武器輸出管理法(AECA)違反禁止顧客リスト。ITARの下で輸出権限を剥奪されている企業・個人のリストを指す。EAR規制対象品を輸出することは禁止されてはいないが、警戒を要する。

国務省
(DDTC)

Nonproliferation Sanctions

各種の制裁法にもとづく指名者を指す。個別に連邦官報で公表される。まとめたリストは無い。

国務省
(ISN)


8.米国輸出管理の基本サイトはどこですか?

米国商務省 産業安全保障局(BIS) 
米国規制当局のホームページ。最新の規則改正情報やEAR全文、ガイダンス、オンライントレーニング等が掲載されています。

9.備えておいたほうが良い基本書籍(日本語)はありますか?

     


10.用語が難しくて理解できません。用語集はありますか?

CISTEC輸出管理基本情報<輸出管理用語集> 米国輸出・再輸出規制(EAR) 主要用語一覧
-米国輸出規制に関する用語解説を掲載しています。


11.タイムリーな情報を日本語で入手したいのですが?

上記書籍のほかに、以下の定期購読誌で情報を入手することができます。

CISTECジャーナル」 (CISTEC)

-約20年間にわたりタイムリーな情報をお届けしている日本唯一の輸出管理情報誌(隔月発行)
>米国FOCUS 人事/規則関連/立法/施行に関するアップデート情報を掲載。
>調査・分析レポート 米国の輸出規制改革や違反事例等の様々なテーマに対する独自調査。
>セミナー・ニュースQ&A 研修会<米国再輸出規制(EAR)>の質疑応答でのQ&Aを掲載。
※各コーナーの閲覧にはWEB版/セット版の申込が別途必要です。



12.関連研修会や説明会等はありますか?

<研修会を受講する>
米国再輸出規制<EAR> (CISTEC)
-CISTECでは米国再輸出規制の基礎から中級までの内容を一日で学んでいただくコースを開催しています。日本人講師によるEARの基礎をはじめ、企業別の再輸出規制への取り組み方、最新動向などについて解説いたします。講義後には質疑応答もあります。また、海外弁護士を招聘し、関連研修会を開催しています(不定期)。
>>詳細はセミナー・講演会ページへ。

BIS Compliance&Training (BIS)
BIS担当官による米国内でのセミナー開催情報。EAR全般から各テーマ(暗号規制、体制構築、技術管理等)に至るまで多岐にわたります。

13.理解度をチェックしたいのですが?

<問題を解いてみる>
安全保障輸出管理eラーニング教材 (CISTEC)
米国再輸出規制に関するQ&Aも含まれています。個人学習に最適、どなたも自由にダウンロードしてご利用いただけます。 

<STC Expert/STC Legal Expert>演習問題集(法令編) (CISTEC)
米国再輸出規制に関する問題(30問)も含まれています。EAR過去問も別途収録。詳しい解説付き。

<資格取得にチャレンジする>
安全保障輸出管理実務能力認定試験 (CISTEC)
-STC Legal Expertには一部、米国再輸出規制に関する問題も含まれています。