(1)リスト規制について
貨物の輸出と技術の提供において、規制される品目を規定している法令の構造は、次のようになります。
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法 律 |
政 令 |
省 令 |
通 達 |
貨 物 |
外為法第48条 |
輸出令別表第1
1~15の項 |
貨物等省令
1~14条 |
運用通達 |
技 術 |
外為法第25条 |
外為令別表
1~15の項 |
貨物等省令
15~27条 |
役務通達 |
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(品目を規定) |
(スペックを規定) |
(用語の解釈等) |
貨物について、輸出しようとする貨物が輸出令別表第1の1~15の項に該当する場合、提供しようとする技術が外為令・別表の1~15項に該当する場合には、経済産業大臣への許可申請が必要となります。リスト規制は国際的な合意に基づき、武器及び大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれの高いものを規制しています。具体的には全地域を規制対象とし、規制対象となる品名や仕様(スペック)がリスト化されております。例えば、そのスペックに該当するものを自社のアメリカの子会社向けに輸出する場合についても必ず輸出等の許可が必要となります。
このように、当該貨物・技術が輸出令別表第1の1~15の項に該当する場合、輸出する貨物、提供しようとする技術が輸出令別表第1並びに外為令・別表の1~15の項に該当するか否かの判定(該非判定)は、輸出管理の最も基本となる業務ですので、しっかりと該非判定を行う必要があります。スペック等を判定するための品目が全く無い場合は「対象外」となるわけですが、例えば、貨物によっては、その附属品や部分品まで規制の及んでいるものもありますし、また規制品目は法令用語で書かれており、一般的な商品名等ではないこと、貨物等の機能や材質、特性等の観点より規制がなされており、例えば輸出する貨物の名称がないからといって、安易に「対象外」と判断をしてはいけません。加えて一項番だけでなく複数の項番で規制されている場合もあります。従って、政省令のみならず解釈をも含めて規制の内容を注意深く読むことが必要です。その結果、もしスペック等を確認すべきものがあった場合、その項番に対応する判定帳票(項目別対比表、パラメータシート等)を選択し、漏れなく記入を行い該非を判定します。その結果、規制対象となる場合を「該当」、規制対象とならなかった場合を「非該当」と言います。
*ご参考:貨物、技術に関する規制根拠
貨 物(外為法第48条第1項)
輸出者は、政令で定める特定貨物(物)を特定の地域に向けて輸出しようとする場合には、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
輸出令第1条第1項
特定貨物(物)とは輸出令・別表第1に掲載されているものをいう。
技 術(外為法第25条第1項等)
居住者が非居住者との間で、政令で定める特定技術を特定の地域において、提供することを目的とする取引を行おうとする場合には、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
外為令 第17条第1項
特定技術とは、特定の種類の貨物の設計、製造又は使用に係る技術であり、外為令別表に掲載されているものをいう。
*技術の提供について
貨物に関しては、日本から船積みし外国へ実際に貨物が輸出される場合に規制の対象となりますが、技術に関しては貨物の場合と異なり、外為法研修生を受け入れ技術指導を行ったり、技術資料を持ち出したり、商品のサンプルの海外送付に伴う技術資料を提供したり、様々な提供方法が考えられます。
技術を「居住者」から「非居住者」に「提供」する場合、規制の対象となるわけですが、「居住者」「非居住者」に関しては外為法第6条第1項第5号(居住者)および第6号(非居住者)に定義されており、さらに外為法第6条第2項により「外国為替法令の解釈及び運用について(蔵国第4672号)」の別紙6-1-5,6(居住性の判定基準)が示されています。
※財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について(抄)」より
注意すべき点としては、技術の提供に関しては「日本にいる外国人」や「外国にいる日本人」に対する技術の提供に関しても規制の対象となる場合があると言うことです。技術は貨物と異なり、一度流出してしまったらそれを止めることは出来ません。貨物同様、的確な管理を行うことが重要です。
(2)キャッチオール規制について
- (3)外為法に基づく輸出等の許可について
規制に該当する物の輸出や技術の提供をする際には、事前に許可を取得する必要があります。
- 1)リスト規制に該当するか否かを確認
- 2)リスト規制に該当しない場合には、キャッチオール規制に該当するか否かを確認
(→用途や需要者に懸念があるか否かを確認)
もし、リスト規制もしくはキャッチオール規制に該当した場合は経済産業省に許可の申請を行うことが必要となります。許可申請に当たっては通達等で定められた必要書類を用意し、この許可申請に対応する窓口(経済産業省又は経済産業局・通商事務所)に許可申請を行ってください。
※許可の申請方法は、以下の3つの方法があります。
- ①窓口への書類持参
- ②窓口あてに郵送
- ③電子申請
また、許可の種類としては、個別案件毎に許可される「個別許可」と「包括許可」があり、該当貨物の輸出や該当技術の提供を行う場合には、輸出令等の特例や一部除外規定がある場合もありますが、原則いずれかの許可が必要となります。
「包括許可」には、原則、国際輸出管理レジーム参加国を仕向地等として行う「一般包括許可」や実務でよく使われる「特別一般包括許可」、継続的な取引関係を有する同一の相手方への特定の物・技術の取引について一括して許可する「特定包括許可」、本邦において使用するために輸入された貨物であって、不具合による返品、修理または異品のためのみに輸出する輸出令別表第1の1項または外為令別表の1項に該当する物(武器)またはその物に内蔵された技術について一括して許可する「特別返品等包括許可」があります。「包括許可」に関しては適用できる品目や仕向地・提供地が「包括許可取扱要領」等にて細かく規定されていますので、包括許可にて輸出等を行う場合には、まず、需用者や用途を確認し、次に仕向地・提供地、包括許可が適用可能な貨物か技術であるかどうかを確認することが必要です。