経済安全保障
Ⅳ 中国の諸規制(テーマ別)
テーマ 主な解説記事内容
中国輸出管理法 中国輸出管理法は20年12月に施行。下部規則案出るも未施行。再輸出規制、みなし輸出規制など運用内容不明で懸念は残ったまま。最終用途・需要者等の輸出管理情報自体が規制対象となり、運用に不透明感。データ安全法との重畳適用可能性大。
「輸出禁止・輸出制限技術リスト」制度  輸出管理法では、国際レジーム合意に準じたリスト規制品目は未公表。他方、対外貿易法体系下の本リストで、レアアース、太陽光発電、AIその他の中国が優位を持つ新興技術を輸出禁止・制限対象に。西側諸国への対抗手段としての位置付けが濃厚に。
改正「反スパイ法」/香港国家安全維持法 「反スパイ法」は、国家安全法制の主要な柱であるが、23年4月に成立した改正は「国家安全」優位を確立させ、恣意的拘束・調査の増加、データ鎖国化に結がりつつある。香港国家安全維持法も、中国本土・政府に係るものも対象となるため要注意。
データ安全法/情報セキュリティ関連規制 データ安全法等の情報セキュリティ関連規制は、「重要データ」の管理と越境移転を制限。最近、企業情報や学術論文等の基本的公開情報へのアクセスが制限され、反スパイ法容疑も含め外資系調査会社等にも立入調査、拘束がなされるなど緊張が強まる。
中国政府による海外上場規制 中国企業の海外上場は、米国側で上場廃止に向けた手続きが進んでいたが、一転米中間で監査情報等への完全アクセスにつき合意。他方で中国側は国家安全の観点から、国営企業、ネット企業を中心に米国での上場規制、上場廃止の動きを強めている。
中国の対抗・報復法制―反外国制裁法等 トランプ政権以降の輸出規制・制裁強化に対抗して、反外国制裁法等の対抗法制を2021年半ばまでに短期間で整備。現時点での運用は象徴的な制裁事例に留まり、香港への適用見送るなど慎重姿勢。潜在的な日本企業等の板挟み懸念は継続。
中国の国家動員法制 有事を睨んだ法制の整備はほぼ完了。海上空間での力の行使を根拠付ける法制(海警法、海上安全法)、国家動員法制(改正国防法)等。また、国家空間インフラを整備し、民間船舶・漁船等を動員・戦力化する態勢を整えている。
民間企業への政府・党の支配強化 中国は民間企業の存在感増大をリスクと位置付け、「新時代の民間経済統一戦線の強化」のための統制を強化。その手段として独禁法も活用され、政府の政策批判をしたアリババ、巨大学術データベース企業の知網に対し巨額の課徴金。
独占禁止法の運用 中国の裁判所の標準必須特許を巡る紛争に関する「禁訴令」の頻発が世界的な問題に。外国企業が中国以外の裁判所での訴訟を事実上禁止し、違反した場合に高額な制裁金を賦課。22年央の独禁法令改正での知財濫用禁止規定の運用に注視が必要。
知財関連の規制―禁訴令等 中国の裁判所の標準必須特許を巡る紛争に関する「禁訴令」の頻発が世界的な問題に。外国企業が中国以外の裁判所での訴訟を事実上禁止し、違反した場合に高額な制裁金を賦課。22年央の独禁法令改正での知財濫用禁止規定の運用に注視が必要。
政府調達における外資排除の動き 「情報セキュリティー技術オフィス設備安全規範」との国家規格の策定を進めており、公的入札で購入するオフィス設備について「国内で設計、開発、生産を完成」を要件とするなど、実質的な技術移転の強制、外資排除の懸念。


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