経済安全保障
Ⅳ 中国の諸規制(テーマ別)
テーマ 主な解説記事内容
中国輸出管理法 中国輸出管理法は20年12月に施行。下部規則案出るも未施行。再輸出規制、みなし輸出規制など運用内容不明で懸念は残ったまま。最終用途・需要者等の輸出管理情報自体が規制対象となり、運用に不透明感。データ安全法との重畳適用可能性大。
対外貿易法 対外貿易法は1994年に対外開放の拡大、対外貿易の発展、貿易秩序の維持等を目的として制定され、対外貿易、即ち「貨物の輸出入、技術の輸出入及び国際サービス貿易」 において、国の安全・社会公共の利益・公共の道徳を守るなどの理由から、牛肉や豚肉、石炭、金属製品、オートバイ、自動車等の一般品目のほか、レアアース(希土類) やアンチモン、タングステン、ジルコニウムなどの安全保障貿易管理関連品目も含めて、輸出許可制度や技術提供の禁止・制限の制度を導入している。下位法令には、技術輸出入管理条例(輸出入禁止・輸出入制限技術リスト)や貨物輸出入管理条例(輸出入許可証管理貨物リスト)などがある。
レアアース管理 2024年6 月、レアアースの採掘から製錬・分離、金属への加工、流通、輸出入まで含めた全サプライチェーンに適用されるレアアース管理条例を制定。
レアアース資源は国が所有する旨を明確に掲げ、レアアース管理は党と国の路線・方針・構想等を徹底して実行し、国が採掘、製錬等を行う企業を選定することや、採掘、製錬等に関する総量規制の実施、違法採掘等されたレアアース製品の購入、販売、輸出等の禁止、国によるトレーサビリティシステムによるレアアース製品の全プロセスの管理強化等を定めている。
改正「反スパイ法」/香港国家安全維持法/国家安全法制 「反スパイ法」は、国家安全法制の主要な柱であるが、23年4月に成立した改正は「国家安全」優位を確立させ、恣意的拘束・調査の増加、データ鎖国化に結がりつつある。香港国家安全維持法も、中国本土・政府に係るものも対象となるため要注意。
サイバーセキュリティ法、データセキュリティ法/情報セキュリティ関連規制 データセキュリティ法等の情報セキュリティ関連規制は、「重要データ」の管理と越境移転を制限。最近、企業情報や学術論文等の基本的公開情報へのアクセスが制限され、反スパイ法容疑も含め外資系調査会社等にも立入調査、拘束がなされるなど緊張が強まる。
中国政府による海外上場規制 中国企業の海外上場は、米国側で上場廃止に向けた手続きが進んでいたが、一転米中間で監査情報等への完全アクセスにつき合意。他方で中国側は国家安全の観点から、国営企業、ネット企業を中心に米国での上場規制、上場廃止の動きを強めている。
中国の対抗・報復法制―反外国制裁法、信頼できないエンティティリスト等 トランプ政権以降の輸出規制・制裁強化に対抗して、反外国制裁法等の対抗法制を2021年半ばまでに短期間で整備。現時点での運用は象徴的な制裁事例に留まり、香港への適用見送るなど慎重姿勢。潜在的な日本企業等の板挟み懸念は継続。
中国の国家動員法制 有事を睨んだ法制の整備はほぼ完了。海上空間での力の行使を根拠付ける法制(海警法、海上安全法)、国家動員法制(改正国防法)等。また、国家空間インフラを整備し、民間船舶・漁船等を動員・戦力化する態勢を整えている。
民間企業への政府・党の支配強化 中国は民間企業の存在感増大をリスクと位置付け、「新時代の民間経済統一戦線の強化」のための統制を強化。その手段として独禁法も活用され、政府の政策批判をしたアリババ、巨大学術データベース企業の知網に対し巨額の課徴金。
独占禁止法の運用 中国の裁判所の標準必須特許を巡る紛争に関する「禁訴令」の頻発が世界的な問題に。外国企業が中国以外の裁判所での訴訟を事実上禁止し、違反した場合に高額な制裁金を賦課。22年央の独禁法令改正での知財濫用禁止規定の運用に注視が必要。
知財関連の規制―禁訴令等 中国の裁判所の標準必須特許を巡る紛争に関する「禁訴令」の頻発が世界的な問題に。外国企業が中国以外の裁判所での訴訟を事実上禁止し、違反した場合に高額な制裁金を賦課。22年央の独禁法令改正での知財濫用禁止規定の運用に注視が必要。
政府調達における外資排除の動き 「情報セキュリティー技術オフィス設備安全規範」との国家規格の策定を進めており、公的入札で購入するオフィス設備について「国内で設計、開発、生産を完成」を要件とするなど、実質的な技術移転の強制、外資排除の懸念。


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